新神殿 準備中
- メタコイノン
- 11月24日
- 読了時間: 3分
更新日:7 日前

現代建築における神殿空間は、おそらく屋上の矩形空間だろうか。あ、そうそう、杉並区の下高井戸から中央区の日本橋馬喰町(1)に移転する予定である。
神殿建築は「ギリシア建築を代表するもので、水平の梁と垂直な柱による単純荘重な構成と美しい比例に基づく様式」(2)である。これだけ聞くと、日本の神社でいう「鳥居」(3)のようだ。そして神殿建築は「神の住まいであり、神像を安置するための建造物であって、その中で儀式や祭礼を行う場所ではない」と言われている。したがって、「外から見た美しさ、外的視覚性に重点が置かれている」と言えるだろう。


「神殿の原型は、ミケーネ時代のアトレウスの宝庫(4))などから発展したもので、建築プランは長方形で切妻屋根をもち、神像を安置する長方形の内陣(ナオス)とその前室(プロナオス)、そして背面に後室(オピストドモス)」(5)を置いている。なんとなく日本の伊勢神宮の平面図(6)をみてみると似ているような気がする。やや飛躍するが、現在、都市の中で人間が使う頻度が少ない屋上という長方形の空間(7)が、神殿の役割になっている可能性はないだろうか。それにしても、神殿建築の「柱」(8)の存在感が凄まじい。





古代ギリシャ神殿は、通常、神話を題材にしたレリーフ彫刻で建築を飾るが、特に入口上部の妻(ペディメント)が重要視された(9)。また柱の意匠としてエンタシスがあり、これは柱の中間部分が膨らみ、人間的な美しいプロポーションを作る(8)。さらにエレクテイオン神殿の柱の一部はカリアティード(10)といい、女性の身体が柱となっている。これはまるでお神輿を担ぐ人々(11)のようにも思えてくる。これこそが人柱であろうか。



では、電気神殿の柱は何になるのか。エアコンの行先は「室外機」(12)である。人と建築、世界のあいだを取り持っているのは「室外機」だろうか。特に東京では夏や冬もエアコンがないと生活が成り立たない。なんだかんだ、「室外機」から出てくる目に見えない空気や風を想像してみると、この世界から人と建物を支えている柱のようだ。ギリシャ神殿の柱は垂直だが、室外機の柱は水平である。そして全方向に拡散して実のところ境界が曖昧な柱になる。これが一つの浮遊した夢想であり、風のタームとしての軽やかなステップとなる。もしも屋上に神様がいるとしたら、「室外機」から夏暑いのに温かい空気を受け、「室外機」から冬寒い中冷たい空気を浴びるのだろう(13)。建築の呼吸音とうんざりしている神様のため息が聞こえ続ける。


新神殿のビル(14)を見てみると、前面の丸窓が印象的で、まるで細胞の核のようであり、当時のメタボリズムの余韻が漂っていることがわかる。この丸窓から飛び出す柱を連想してしまうのであれば、もう予習はしなくていいと思う。
電気神殿メタコイノン 管理人







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